韓定食(ハンジョンシク)とは?高麗人参が息づく韓国の食文化 – 体のバランスを整える知恵

高麗人参が息づく食文化 - 韓定食(ハンジョンシク)とは? 産地・韓国の話
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韓国の伝統的なコース料理「韓定食」。彩り豊かな料理が少しずつ並ぶ食卓は見た目の美しさだけでなく、食材の組み合わせや配膳にも“体のバランスを整える”知恵が詰まっています。本記事では、韓定食の成り立ちや“五味五色”の考え方、高麗人参がどのように用いられているかをわかりやすく解説します。

韓定食の起源と発展

韓定食(ハンジョンシク・한정식)は、もともと朝鮮王朝時代の宮廷料理を源とする伝統的な韓国の食文化です。王族の食膳では、旬の食材を生かし、見た目の美しさや栄養バランスに配慮した多彩な料理が並びました。

その文化が庶民にも広まり、地域の食材や家庭の味が加わることで、現代ではその流れを汲む「宮廷韓定食」と、より家庭的で親しみやすい「家庭式韓定食」に分かれています。どちらも、複数の小皿料理が一度に並び、豊かで調和のとれた食卓を表現している点が特徴です。

韓定食の食卓の様子

「五味五色」の考え方:食材選びの基本

韓定食では、身体の調和を重視する韓医学の思想に基づき、「五味(甘・辛・酸・苦・鹹)」や「五色(青・赤・黄・白・黒)」を取り入れた献立作りが行われます。それぞれの味・色が身体の特定の部位や機能に対応するとされ、結果的に栄養バランスや食べ応えが整います。

  • 五味:甘味は気を補い、酸味は消化を助ける、などと伝統的に考えられてきました(現代的な栄養学とは役割の捉え方が異なります)。
  • 五色:色のバランスは、見た目の満足度だけでなく、様々な食材を摂ることで栄養素の偏りを防ぐ意味もあります。

韓定食にみる高麗人参の使われ方

高麗人参は、韓国の伝統食文化において「滋養の象徴」として重宝されてきました。韓定食の中では次のような形で登場します。

  • 参鶏湯(サムゲタン):若鶏に高麗人参を入れて煮込む薬膳的なスープとして、特に夏場の伝統食として知られます。参考:参鶏湯風レシピ
  • 高麗人参のスライスや和え物:薄くスライスしたり、他の薬膳素材と合わせて供されます。また、写真のように1年根の高麗人参スプラウトが小皿で提供される場合もあります。
  • 薬膳茶やデザート:韓定食の締めとして高麗人参を使ったお茶や甘味が出ることもあります。

韓定食に並ぶ高麗人参を使った小皿料理の例

※料理の中で用いられる形態は、粉末・スライス・エキスなどさまざまです。調理法や提供スタイルは店や地域によって異なります。

現代の韓定食:観光・健康志向と融合したスタイル

近年は観光客向けにアレンジされた韓定食店が増え、伝統的な構成を保ちながらも、現代の食習慣に合わせたメニューが登場しています。たとえばベジタリアン向けの韓定食や、地元食材を生かした季節限定のコースなど、バラエティは豊富です。

また、宮廷文化や薬膳の知見を活かした“体験型”の食事として、外国人旅行者の注目を集める例も増えています。高麗人参を使った一品が含まれているかどうかは、事前にメニューや店舗情報をチェックするとよいでしょう。

韓定食を楽しむためのポイント

  • 事前予約を検討:韓定食は盛り付けやコース構成に手間がかかるため、人気店では予約が安心です。
  • 少しずつシェアする:多皿をみんなで分け合うスタイルが基本。複数人で訪れると色々な味が楽しめます。
  • 高麗人参の提供形態を確認:サムゲタンのように丸ごと入るタイプもあれば、薬膳の小皿として少量だけ添える店もあります。
  • 文化的背景を楽しむ:料理に込められた“色・味・配膳”の意味を知ると、より深く味わえます。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 韓定食はどこで食べられますか?

A. ソウルの伝統料理店や全州(チョンジュ)の韓定食通り、韓屋(ハノク)を改装したレストランなどで提供されています。観光地のレストランでも体験しやすいです。

Q. 高麗人参入りの韓定食は高価ですか?

A. 高麗人参を使ったメニューは材料コストがかかるため、一般的な韓定食より高めに設定されることが多いです。予算に応じて、薬膳要素の少ない韓定食を選ぶのも一案です。

Q. 韓定食は健康食として向いていますか?

A. 韓定食は伝統的に多様な食材を少量ずつ食べる構成で、栄養バランスを意識した献立が多く見られます。ただし健康効果を期待するよりも、食文化やバランスの良い食事として楽しむのが一般的です。

まとめ|韓定食で味わう伝統と高麗人参のつながり

韓定食は、単なる「食事」ではなく、季節感・見た目・味のバランスを大切にする食文化です。高麗人参はその一部として、薬膳的な要素や“滋養の象徴”として献立に取り入れられてきました。旅行や外食の際には、ぜひ料理の背景にも注目してみてください。

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