高麗人参酒の歴史と特徴
高麗人参酒(インサムジュ=인삼주)は、韓国を中心に古くから伝わる伝統的な薬酒の一種です。高麗人参を焼酎や蒸留酒に漬け込み、時間をかけて抽出したお酒。独特の香りとともに、体が芯から温まる感覚が楽しめます。

医薬品ではなく、あくまで「健康を願う民間伝承の飲み物」として、家庭や祝いの場で親しまれてきました。
韓国での伝統的な製法
- 使用されるのは主に6年根の高麗人参。
 - 3か月〜半年ほど熟成させることで、香りと風味がまろやかに。
 - 家庭ごとに蜂蜜やナツメ、クコの実を加えるなど、独自のアレンジも。
 - 誕生日や節目の「祝い酒」として贈られる文化もある。
 
高麗人参酒の作り方

高麗人参酒は、材料を瓶に入れて漬け込むだけのシンプルな製法で、家庭でも簡単に楽しむことができます。
・生の高麗人参 … 1〜2本(約50〜100g)
・35度以上の焼酎またはホワイトリカー … 約700ml
・はちみつ(お好みで) … 適量
作り方
- 生の高麗人参をよく洗い、泥や根の細部まで丁寧に汚れを落とす。
 - 水気を拭き取り、軽く陰干しして表面を乾かす。
 - 清潔なガラス瓶に人参を入れ、焼酎またはホワイトリカーを注ぐ。
 - 冷暗所で3か月以上熟成させる。半年〜1年ほど置くと、よりまろやかな味わいに。
 
はちみつ(甘味)を加えるタイミングと目安

高麗人参酒に「はちみつ」や「氷砂糖」を加える目的は、アルコールの刺激を和らげて飲みやすくすることや、風味にまろやかさを出すことです。はちみつの加え方には主に、①漬け込み時に一緒に加える方法と、②熟成後に味を見て加える方法の2通りがあります。用途や好みに合わせて選びましょう。
① 漬け込み時に加える(一般的・手軽)
最もポピュラーな方法です。高麗人参と焼酎(またはベースの酒)を瓶に入れた段階で、はちみつや氷砂糖を一緒に加えて密封します。時間とともに甘みがじんわり溶け出し、マイルドな味わいになります。
- 目安量:焼酎700mlに対して、はちみつ 大さじ1〜2(約20〜30g)、または氷砂糖 50〜100g程度を基準に調整。
 - メリット:最初から甘さがなじみ、飲みやすくなる。
 - 注意点:糖分を入れすぎると濁りや発酵(微発酵による泡や味変化)の原因になることがあるため、控えめがおすすめ。
 
② 熟成後に加える(味を見て調整)
まずは、甘味なしで漬け込み、3〜6か月ほど経ってから味見をして甘さが欲しい場合に少量ずつはちみつを足す方法です。甘さや風味の調整がしやすく、発酵リスクを抑えたい場合に適しています。
- 目安量:熟成後に小さじ1ずつ加えてよく混ぜ、味を見ながら少量ずつ追加する。
 - メリット:最終的な風味を確認しながら好みの甘さにできる。
 - 注意点:加えた後は瓶をよく密封し、冷暗所で保管。はちみつは固まりやすいので、温度管理に注意する。
 
- はちみつ(甘味)は漬け込み時に少量入れるのが一般的。
 - 熟成後に味を見てから加えると調整しやすく、発酵リスクを抑えられる。
 - 清潔な容器で、冷暗所に保管する。密封・衛生管理を徹底する。
 
(参考)家庭用の伝統的な果実酒・薬膳酒の作り方の一般知見を踏まえた目安です。具体的な配合や保存方法はレシピや使用する酒の種類によって変わるため、ご自身の手順に合わせて微調整してください。
高麗人参酒の味わいと楽しみ方
高麗人参酒は、甘みと土のような香ばしさが調和した独特の風味が特徴です。ストレートやロック、お湯割りなど、少量(盃一杯程度)を味わうのが一般的です。

韓国では、サムゲタンや薬膳粥など、体を温める料理と一緒に供されることもあります。
日本で楽しむ場合の注意点
日本で自家製の高麗人参酒を作る際には、酒税法上の制限に注意が必要です。市販の酒類に高麗人参を漬け込む場合は「漬け込み酒」として扱われ、アルコール度数20度以上の蒸留酒を使用するなど、一定の条件を守る必要があります。
また、(自家醸造した)高麗人参酒の販売および譲渡は酒税法違反となります。作ったら自身で飲むか、同居の家族内で楽しむようにしましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 高麗人参酒は毎日飲んでもいいの?
嗜好品としての位置づけのため、明確な摂取基準はありません。少量を楽しむ程度が一般的です。
Q2. 味が苦いのですが、飲みやすくする方法は?
蜂蜜を少し加えたり、温かいお湯で割るとマイルドになります。
Q3. 高麗人参の種類によって味は変わる?
白参はすっきりとした味わい、紅参は香りが深くコクがある傾向があります。
まとめ|文化的な価値も感じられる健康酒
高麗人参酒は、韓国の知恵と文化が詰まった伝統酒です。健康を願う気持ちとともに、季節の節目や来客のもてなしとして親しまれてきました。
味わいだけでなく、その背景にある文化的な価値も感じながら、ぜひ一度体験してみてください。

  
  
  
  
